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教育・家計の公開データ分析 · 分析記事

入学年と受験学年、家計負担の山はなぜ別に来る?

要旨

年間の学習費総額だけを見ると、入学時の学校教育費と、後半学年に増える学校外活動費が相殺されます。公立小・中・高の学年別平均を費目別に分け、家計負担が大きい時期の変化を整理しました。

· 文部科学省・令和5年度子供の学習費調査(2026年1月16日訂正版)

公式公開集計の二次分析です。査読論文・受託実績・個人や物件への予測ではありません。

研究上の問い

学年による学習費の変化は、学校教育費・学校給食費・学校外活動費のどの費目で生じ、総額だけではどの負担移動を見落とすのか。

対象データと方法

文部科学省・令和5年度子供の学習費調査(2026年1月16日訂正版)。公式資料を確認し、数値の分母・単位・時点をそろえました。因果推定に必要な条件がない場合は記述分析に限定しています。

分析方法の確認

103機能の実行結果

実行確認済み
103

103機能を全件監査し、60機能を原表の再計算・別実装照合・頑健性・感度・可視化・用語監査へ適用しました。43機能は前提不成立の理由を保存しています。

別の説明もできるか

  • 学年差は受験だけでなく支出費目の構成変化を含む
  • 横断平均であり、同じ子どもの増加を示さない

結果|会議で先に共有する3点

  1. 公立中3の学校外活動費は44万6,096円

    第1学年27万8,315円から60.3%増えます。総額は54万5,239円から60万7,325円へ11.4%増にとどまり、学校教育費の減少が学校外活動費の増加を一部相殺しています。

  2. 公立高は、総額が下がっても学校外活動費は増える

    総額は第1学年70万240円から第3学年50万3,697円へ低下しますが、学校外活動費は19万5,191円から31万9,200円へ63.5%増え、費目構成が大きく入れ替わります。

  3. 公立小も、学校外活動費は21万6,850円から30万7,345円へ

    第1学年の総額39万5,394円には入学時の学校教育費が含まれ、第2学年は29万7,710円へ下がります。その後、学校外活動費が増え、第6学年の総額は43万2,708円になります。

図1|公立校の学年別費目構成

公立小中高校の学年別学習費を学校教育費、給食費、学校外活動費で積み上げた棒グラフ
入学年の学校教育費と、後半学年の学校外活動費を同じ総額の中で分けます。

図2|学校外活動費の学年変化

公立私立別に小中高校の学校外活動費を学年順に示した折れ線グラフ
多くの校種で後半学年ほど高い形ですが、因果効果ではありません。

図3|最初と最後の学年差を費目別に表示

公立小中高校について最終学年と初年度の差を三費目に分解した棒グラフ
正負の費目差が相殺されるため、総額だけでは負担移動を見落とします。

1|総額は、費目の入れ替わりを隠す

学習費総額は、学校教育費、学校給食費、学校外活動費の合計です。ある費目が減り、別の費目が同時に増えると、総額の変化は小さく見えます。そのため、この分析では総額の順位を作る前に、最初の学年と最後の学年の差を三費目に分けました。

公立中学校では、第1学年から第3学年に学校教育費が10万986円減りましたが、学校外活動費は16万7,781円増えます。総額の6万2,086円増だけでは、この大きな負担移動が見えません。

2|入学年には、学校教育費が先に立つ

公立小学校第1学年の学校教育費は14万2,349円で、第2学年4万9,973円の約2.8倍です。公立中学校でも第1学年22万7,889円に対し、第2学年9万8,284円です。制服、通学用品、教材などを含む学校教育費の山は、後半学年の学校外活動費とは別に現れます。

ただし、原表は費目別の平均で、すべての家庭が同じ物品を同じ価格で購入することを意味しません。学校、地域、家族構成による差を個別家計へ直接当てはめることはできません。

3|後半学年では、学校外活動費の比重が増える

公立小学校の学校外活動費は第1学年21万6,850円から第6学年30万7,345円へ41.7%増えます。公立中学校は60.3%、公立高校は63.5%増です。校種をまたいで、後半学年ほど学校外活動費が高いという記述的な形が確認できます。

この形を『受験の効果』とは呼びません。学年平均の横断比較で、家庭所得、地域、進路希望、参加の有無を統制していないからです。結果は、家計相談や教育サービス調査で時期を分ける理由として使います。

4|公立・私立は金額に加えて構成も違う

私立では学校教育費の水準が高く、同じ学年名でも総額の構成が公立と異なります。私立小学校の学校外活動費も第1学年65万3,973円から第6学年89万1,409円へ増えています。公私を一つの平均にすると、支払い先と時期の違いが消えます。

教育サービスの需要を確認する場合は、公私、校種、学年、費目を固定し、支出率や支出者平均が利用できるときは全体平均と分けます。この分析の学年表だけから利用者数や単価を逆算しません。

5|会議では『年間予算』を一つにしない

学校や教育事業者の会議では、入学準備、通常年、進路準備を別々の期間として確認できます。どの家庭が、いつ、何に困るかを調べる前に、総額の平均だけから支援時期を決めないことが重要です。

次の調査では、地域規模、所得帯、支出率、支出者平均、無支出世帯を組み合わせる必要があります。ただし、公開表の標準誤差と定義が一致する範囲だけを使います。

6|この結果から言えないこと

学年差は同じ子供を追跡した変化ではありません。年度内の異なる学年集団の平均です。個人の支出増減、受験行動、教育効果、学力、満足度は測っていません。

金額が高いことを望ましい・望ましくないと評価せず、教育サービスの必要性や政策効果も推定しません。記述分析として、負担の時期と費目を見分けるところまでに限定します。

7|再計算できる形で残す

訂正版の公式Excelから抽出した30学年行をCSVへ固定し、費目合計、最初と最後の差、増加率を再計算しました。日本語・英語の図と記事、研究報告書、1ページ要約は同じCSVと結果JSONを参照します。

会議で何を確認するか

以下は分析結果を踏まえた調査提案です。実施済み施策や効果の実証ではありません。

学校・自治体

確認できたこと
入学年と後半学年で負担費目が違います。
次の調査
入学準備と進路準備を別の時期・費目で調査します。
判断前の条件
所得・地域・無支出世帯を確認するまで支援対象を決めません。

教育サービス事業者

確認できたこと
学校外活動費は後半学年で高い形です。
次の調査
校種・学年ごとに需要仮説と調査票を分けます。
判断前の条件
全体平均から利用率や単価を逆算しません。

企業の福利厚生・人事

確認できたこと
家計負担の時期は一度ではありません。
次の調査
従業員調査では子供の学年と費目を分けます。
判断前の条件
平均値だけで個人の必要額を決めません。
公立小・中・高の学年別学習費

地域・学校種の名称は原表の日本語で表示しています。

公立小・中・高の学年別学習費
校種・学年総額学校教育費給食費学校外活動費
公立小・第1学年395,394142,34936,195216,850
公立小・第2学年297,71049,97335,818211,919
公立小・第3学年318,91651,96735,956230,993
公立小・第4学年359,77853,38935,115271,274
公立小・第5学年392,75560,72936,488295,538
公立小・第6学年432,70890,25435,109307,345
公立中・第1学年545,239227,88939,035278,315
公立中・第2学年473,56998,28433,694341,591
公立中・第3学年607,325126,90334,326446,096
公立高・第1学年700,240505,049調査対象外195,191
公立高・第2学年580,958355,197調査対象外225,761
公立高・第3学年503,697184,497調査対象外319,200

単位は円/年。高校の学校給食費は調査対象外で、0円ではありません。

方法|実行した方法と、使わなかった方法

pandas
訂正版の学年別30行を校種・公私・学年順に整形。
numpy
費目合計、最初と最後の差、増加率を再計算。
算術分解
総額差を学校教育費・給食費・学校外活動費に分けました。
構成比較
公私と校種を混ぜず、同じ区分内で学年差を比較。
感度の境界
標準誤差の完全な再構成ができないため、有意差検定を行わず記述分析に限定。
matplotlib
費目構成、学年推移、増減分解を日英で固定。

この分析の限界

  • 同じ子供を追跡した縦断データではなく、学年集団の横断平均です。
  • 所得、地域、進路希望、参加の有無を統制していません。
  • 標準誤差の範囲は原表にありますが、個別セルの信頼区間は再構成していません。
  • 学年差を受験、制度、特定サービスの因果効果とは解釈できません。

公式出典と再現資料

原表を保存し、URL・訂正日・SHA-256、変換手順、使用機能、限界を記録しています。表示値の丸めと、原表の丸めによる差を区別しています。

結論

学習費の負担は『入学時に高く、その後は下がる』という一方向ではありません。学校教育費の山と学校外活動費の山が別の学年にあり、正負の変化が総額で相殺されます。会議や事業企画では、校種・公私・学年・費目を固定し、利用率や所得など次の分母を追加して判断する必要があります。