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不動産・建築着工統計 · 分析記事

新設住宅は74.1万戸、3年連続減。貸家43.9%の市場で何が縮んだ?

要旨

2025年の新設住宅は740,667戸、前年比6.5%減でした。51,528戸の減少は、持家16,890戸、貸家17,101戸、分譲17,146戸とほぼ3分されます。開始年を変えた10本の傾向線はすべて負でしたが、年当たり減少幅は0.9万〜2.4万戸に動き、速度は期間依存です。

· 2011年から2025年、詳細分解は2024年から2025年

公式公開集計の二次分析です。査読論文・受託実績・個人や物件への予測ではありません。

研究上の問い

2025年の減少はどの利用関係が担い、地域別の内訳はどこで異なるか。長期の減少方向は開始年、外れ年、推定方法を変えても残るか。短い年次系列から将来値をどこまで言えるか。

対象データと方法

2011年から2025年、詳細分解は2024年から2025年。公式資料を確認し、数値の分母・単位・時点をそろえました。因果推定に必要な条件がない場合は記述分析に限定しています。

結果|会議で先に共有する3点

  1. 減少は持家・貸家・分譲にほぼ3分

    総減少51,528戸のうち、持家32.8%、貸家33.2%、分譲33.3%。単一カテゴリーだけの減速ではありません。

  2. 貸家は最大43.9%だが、減少影響は3分の1

    構成比の大きさと減少影響は別です。持家・分譲の落ち込み率の方が大きく、戸数影響が並びました。

  3. 減少方向は頑健、減少速度は期間依存

    2011〜2020年の各開始年から2025年までの傾きは全て負。各年除外でも負でしたが、速度幅は大きく、一本の傾きを将来予測へ延ばせません。

2011〜2025年の利用関係別推移

総数、持家、貸家、分譲住宅の2011年から2025年の推移線
2013年以降の総数は長期的に低下していますが、単一の直線で将来を予測しません。

2024→2025年の減少戸数

持家、貸家、給与住宅、分譲住宅の減少戸数を示す棒グラフ
持家・貸家・分譲の減少戸数は、ほぼ同じでした。

地域×利用関係の前年比

首都圏、中部圏、近畿圏、その他の利用関係別前年比ヒートマップ
近畿圏のマンションだけは+6.6%。全国減でも内訳は一様ではありません。

開始年を変えた傾きの感度分析

2011年から2020年まで開始年を変えた住宅着工の年当たり傾きを示す折れ線
全て負ですが、減少速度は期間の選び方で大きく動きます。

要約|74.1万戸という総数の中で、三つの市場が同時に縮んだ

2024年792,195戸から2025年740,667戸へ51,528戸減りました。持家218,175戸から201,285戸、貸家342,092戸から324,991戸、分譲225,315戸から208,169戸、給与住宅6,613戸から6,222戸です。SQLをDuckDBとSQLiteで独立実行し、四区分の合計が総数と一致することを確認しました。

貸家は構成比43.9%で最大ですが、減少影響は33.2%です。『最大市場だから減少の主因』とは言えません。絶対数、構成比、前年比、影響度を分ける必要があります。

方法|減少方向と速度を分けて検証

主分析は利用関係別影響分解、2011〜2025年推移、地域×利用関係の前年比です。頑健性確認として開始年を変える検証、各年を一つずつ除く検証、Theil–Sen傾き、HC3標準誤差、ベイズ傾向を実行しました。

ARIMA、ドリフト型ナイーブ、XGBoost、LightGBM、Optunaも短い系列で比較しました。時系列分割MAEは最良でも約5.1万戸で、2025年の前年差と同程度です。このため予測値は主結果に採用せず、『短系列で高度モデルを使っても精度が保証されない』という否定的結果として残しました。

結果1|全国の減少影響は三分、地域内訳は不均一

首都圏のマンションは−21.0%、中部圏−25.5%に対し、近畿圏は+6.6%でした。近畿圏の一戸建は−10.6%です。全国総数の減少方向が同じでも、商品タイプの組合せは地域で異なります。

地域5内訳を標準化した探索的PCAは、4地域しかないため主結論にしていません。コサイン類似度も市場の同一性ではなく、増減パターンの近さに限ります。

結果2|方向は変わらないが、期間選択で速度が動く

開始年を2011年から2020年まで動かすと、OLS傾きは年−9.1千戸から−23.7千戸でした。各年を一つずつ除くHC3傾きも−6.9千戸から−12.7千戸で全て負です。ベイズ回帰で傾きが負の事後確率は98.7%でした。

ただし2020年開始は6点しかなく、p値0.118でした。『減少方向が多くの仕様で残る』ことと、『正確な年間減少幅が分かる』ことは同じではありません。

考察|着工は需要、成約、完成、価格ではない

着工戸数は供給側の開始フローです。住宅需要の全体、在庫、成約、空室、建築費、金利、価格を単独で表しません。貸家比率43.9%を見て賃貸需要が強いと断定することも、着工減を需要減と同一視することもできません。

企業の会議では、地域・利用関係・建て方を固定したうえで、確認申請、着工、完成、在庫、成約、賃料・価格を別系列でつなぐ必要があります。

限界と追加データ

2011〜2023年の利用関係別値は公式図の千戸丸め、2024〜2025年は確定戸数です。年次15点で季節性や構造変化を十分に識別できません。月次・都道府県・床面積・工事費へ拡張し、改訂や季節調整の扱いを固定する必要があります。

2024年と2025年の利用関係別着工

地域・学校種の名称は原表の日本語で表示しています。

2024年と2025年の利用関係別着工
利用関係2024戸2025戸前年差減少影響%
持家218,175201,285-16,89032.8
貸家342,092324,991-17,10133.2
給与住宅6,6136,222-3910.8
分譲住宅225,315208,169-17,14633.3

四区分の合計は2024年792,195戸、2025年740,667戸と一致。影響は絶対減少戸数で計算。

方法|実行した方法と、使わなかった方法

103機能の実行結果

このデータに合う方法を採用し、採用しなかった方法と理由も記録しました。

高度モデルも実際に走らせましたが、短い年次系列で精度が足りない結果を隠さず、主結論から外しました。

影響分解
総減少を持家・貸家・給与・分譲へ完全分解。
仕様感度
開始年を変える検証と各年を一つずつ除く検証で、方向と速度を分離。
否定的結果
複数予測器の誤差が大きく、将来値を主張しない。
Pandas / NumPy / Polars
時系列、前年差、構成比、影響度を主計算・独立照合。
DuckDB / SQLite
利用関係別合計を別SQL実装で総数へ照合。
SciPy / statsmodels
開始年を変える検証、各年を一つずつ除く検証、Theil–Sen、HC3を実行。
PyMC / ArviZ / Bambi
傾きのベイズ感度推定と収束診断。
pmdarima / sktime / XGBoost / LightGBM / Optuna / SHAP
短系列予測を比較し、精度不足と依存特徴を否定的結果として保存。
Matplotlib / Seaborn / Plotly
静的図の別実装照合と対話図を生成。

この分析の限界

  • 着工は需要、成約、完成、価格、空室とは異なる指標。
  • 2011〜2023年の利用関係別値は公式図の千戸丸め。
  • 年次15点では季節性・構造変化・予測精度を十分に識別できない。
  • 地域は4区分で、都道府県・市町村差を示さない。

公式出典と再現資料

原表を保存し、URL・訂正日・SHA-256、変換手順、使用機能、限界を記録しています。表示値の丸めと、原表の丸めによる差を区別しています。

結論

2025年の住宅着工減は貸家だけの問題ではなく、持家・貸家・分譲がほぼ同じ戸数を押し下げた結果です。長期の減少方向は多くの仕様で残りますが、減少速度は期間依存で、短い系列の予測誤差も大きい。地域・利用関係・建て方を固定し、完成・在庫・成約・価格と別系列で判断すべきです。