公開データ分析|令和8年地価公示
地価上昇は、全国一律ではありません。
国土交通省『令和8年地価公示』を、住宅地・商業地・工業地、三大都市圏・地方四市・地方圏その他、前年からの加速・減速に分けました。全国平均だけでは分からない用途・地域差を確認しています。
調査結果
要旨
2026年地価公示を全国・三大都市圏・地方圏、住宅地・商業地・工業地に分け、2025年との変化を照合しました。全国平均は上昇を続けても、用途と圏域を分けると加速と減速が同時に存在します。全国の一つの数字を候補地や個別物件へ当てはめず、条件をそろえて比較します。
研究上の問い
全国の地価上昇という結論は、用途と圏域を分けても同じ強さで成り立つのか。
対象データと定義
国土交通省『令和8年地価公示』の全国・圏域・用途別の対前年平均変動率と、都道府県別原表を使用しました。価格水準と変動率を混ぜず、同じ用途・同じ圏域で比較します。
2025年と2026年の変動率の差を『加速・減速』として計算しています。上昇率が低下していても価格が下落したとは限らないため、方向と速度を分けます。
分析方法の確認
103機能の実行結果
- 実行確認済み
- 103
103機能を全件監査し、59機能を原表の再計算・別実装照合・頑健性・感度・可視化・用語監査へ適用しました。44機能は前提不成立の理由を保存しています。
別の説明もできるか
- 全国上昇と用途・圏域別の減速は両立する
- 平均変動率は個別物件の価格水準ではない

結果|用途と圏域を分けると、加速と減速が同時に見える
6.2pt · 商業地の三大都市圏・地方圏差
商業地の地域差が最大
三大都市圏平均7.8%に対し地方圏平均1.6%。差は6.2ポイントで、住宅地2.6ポイント、工業地3.6ポイントより大きく出ています。
31 / 47 · 住宅地が上昇した都道府県
地方四市は上昇しながら減速
札幌・仙台・広島・福岡の地方四市は、住宅3.5%、商業6.4%、工業8.0%。ただし前年からは3用途すべてで1.0〜1.4ポイント減速しました。
r = 0.909 · 都道府県の住宅地と商業地
全国平均は下落地域を隠す
住宅地は上昇31、横ばい4、下落12都道府県。商業地は上昇38・下落9、工業地は上昇46・下落1で、用途ごとの広がりも違います。
変動率、加速度、地点数を並べる

平均変動率は、地点変動率の単純平均です
各標準地の対前年変動率は前年から継続する地点で計算され、圏域平均はその単純平均です。人口、土地面積、取引額で重み付けした平均ではありません。三大都市圏は法律上の市区町村範囲で、都府県全域とも一致しません。
実行した分析機能
方法|表の照合から地域相関まで
- 01
pandas
第3表と第5表の圏域、用途、年、地点数を縦長の表にまとめました。
- 02
polars
別エンジンで165行を再読込し、型と欠損を照合。
- 03
duckdb
圏域24行、都道府県141行をSQLで再集計。
- 04
numpy
加速度、用途差、上昇・横ばい・下落数を計算。
- 05
scipy
住宅・商業・工業の都道府県相関と東京除外後の感度を確認。
- 06
matplotlib
加速・減速、地域の広がり、地点数を静的図へ固定。
- 07
seaborn
圏域×用途ヒートマップを作り、本文の数値と照合。
立地や商圏を比べる前に、比較軸を固定する
01
用途を混ぜない
住宅、店舗・オフィス、物流・工業の需要を別々に見ます。02
圏域と都道府県を分ける
三大都市圏の法定範囲と都府県全域を同じ集計として扱いません。03
変動率と加速度を並べる
高い上昇率でも減速中か、低くても加速中かを分けます。04
地点数を必ず添える
佐賀県の工業地12.4%は3地点。東京の商業地12.2%は837地点です。公示価格は1㎡当たりの更地の正常価格で、実際の成約価格、建物価格、家賃、利回りではありません。都道府県相関は47地域の集計値による記述分析です。観光、再開発、半導体、物流需要などは国土交通省の説明要因として紹介できますが、この集計だけで因果効果を証明したとは書けません。
考察
平均値は全体の方向を短く伝えますが、立地選定に必要なばらつきは消えます。住宅地・商業地・工業地は需要要因が異なり、三大都市圏と地方圏でも動きが違うため、用途と圏域を固定して初めて比較の意味が生まれます。
変動率の減速は、直ちに需要悪化を意味しません。前年の高い伸び、地点構成、地域固有の再開発や観光、供給制約など複数の説明があり得ます。公示結果から仮説を立て、個別候補では取引時点と物件条件を追加する必要があります。
限界
- 公示地の平均変動率で、全土地・全取引の平均や個別物件の査定ではありません。
- 地域の交絡要因を統制した因果分析や将来予測は行っていません。
- 圏域・用途の集計差だけでは、市区町村内や駅勢圏内のばらつきを説明できません。
結論
『全国で上昇』は最初の集計にすぎません。用途、圏域、上昇・下落の方向、伸びの加速・減速を分け、その後に候補地の時点と条件を確認すると、平均の誤用を避けられます。
用途別の分析資料
読む目的に合う形式を選べます。
用途・圏域・加速度・地点数を、研究報告書と1ページ要約にまとめました。 すべてPDFで閲覧・保存できます。
公開データによる自社分析です。受託案件や顧客成果の実績ではありません。
出典・公式資料と再現データ
公式Excel2表のURL、取得日、SHA-256を保存し、派生CSV、分析結果JSON、使用機能と不採用理由を記録しています。予測モデルやSHAPは個別地点査定の問いではないため使用していません。
不動産データ分析
物件数や平均価格に加え、用途・地域・時期を分けて比較します。
公開統計や支給された不動産データの列、基準日、単位、成約・募集の区別を確認し、比較できる範囲を図とレポートに記載します。投資判断は提供しません。
