雇用・人口 ·

給与は増えたのに実質賃金は減る。労働時間も確かめる

2025年の現金給与総額は前年比2.3%増、物価の変化を除いた実質賃金は1.3%減でした。一方、総実労働時間は1.4%減っています。月の給与と時間当たりの給与では、見え方が同じとは限りません。

月額だけでは分からないこと

厚生労働省「毎月勤労統計調査」の年平均確報では、事業所規模5人以上の月間給与は355,941円、総実労働時間は135.1時間です。給与には賞与などの特別給与も含みます。手取りや基本時給ではありません。

実質賃金の変化を労働時間の変化で割ると、実質の給与時間比は約0.10%増となります。ただし、公表値は小数第1位までです。丸め幅を考慮すると、計算結果はおよそ0.00~0.20%に収まります。「時間当たりでは明確に改善した」と言い切れる差ではありません。

雇用形態を分けて確かめる

同じ計算を一般労働者に限ると約0.30%増、パートタイム労働者では約0.10%増です。全体平均には、働く人の構成や労働時間の変化が含まれます。同じ人の時給がそれだけ上がったという意味ではありません。

産業別にも月間給与を月間労働時間で割りました。原表の「電気・ガス業」は約4,112円、「飲食サービス業等」は約1,626円です。賞与、雇用形態、職種の構成が異なるため、この比を求人の基本時給と比べることはできません。

自社では何を確かめるか

給与台帳と勤怠を同じ対象者・同じ月で結び、基本給、残業代、賞与を分けて集計します。月額の変化、時間当たりの変化、在籍者を固定した変化を並べれば、賃上げと人員構成の影響を区別しやすくなります。個人の評価や処遇を、この産業平均だけで決める用途には向きません。

出典:厚生労働省・毎月勤労統計調査 2025年分結果確報。同省原表を加工して作成。2026年2月25日公表版を使用。

2025年の名目給与・実質給与・総実労働時間の前年比
2025年の名目給与・実質給与・総実労働時間の前年比

資料と集計表