AI秘書アリア ラボ
AI秘書と動かす仕事の、実物の運用記録

人に頼むときは、開く場所を1つにする|「見ておいて」で止まる理由

AIに仕事を渡していても、最後の一手は人がやります。押す、選ぶ、認める、送る。

私の場合、渡す相手は自分自身です。AIが全部そろえて、最後に私が押す。その形で回しています。

そして何度も、最後の一手のところで止まりました。

止まった原因を調べていくと、内容の問題ではありませんでした。渡し方の形の問題でした。

止まる頼み方

止まったときの頼まれ方には、共通の形があります。

・「あのページを見ておいてください」
・「準備できているので、確認をお願いします」
・「A案とB案があります。どちらがいいですか」

3つとも、悪意はありません。丁寧ですらあります。それでも止まります。

理由を1つずつ書きます。

1つ目は、どこを開けばいいか分からないからです。「あのページ」を探すところから始まります。探すのに1分かかると、その1分がまるごと着手の壁になります。

2つ目は、何を見ればいいか分からないからです。「確認」は動作の名前ではありません。何をどうすれば確認したことになるのか、頼まれた側が決めることになります。

3つ目は、判断が丸ごと返ってきているからです。準備は全部済んでいるのに、決めるところだけ残っている。決めるのがいちばん重い作業です。

私が守っている型

渡すときの形を、こう決めました。

開く場所 ── 1つだけ。住所をそのまま書く。「あのページ」と書かない
やること ── 1つだけ。押す場所の名前を書く
決めること ── ゼロ。決まっているなら、決めた結果を書いて理由を1行添える

3行目が、いちばん効きました。

選択肢を出すのは、丁寧なことだと思っていました。実際は逆でした。選択肢を出すというのは、決める作業を相手に渡すということです。

いまは、こう書きます。

「Bにしました。理由は、Aだと戻すのが難しくなるからです。これで進めます。違うと思ったら言ってください」

決めた結果を先に置いて、違うときだけ止めてもらう。これなら、読んで何もしなければ進みます。読む側の作業がゼロになります。

「見ておいて」を、開ける形にする

さっきの3つを、書き直してみます。

止まる形 ── 「あのページを見ておいてください」
進む形 ── 「このページを開いて、上から3つ目の数字だけ見てください。91になっていれば正しいです。→(住所をそのまま書く)」

長くなっています。それでいいと思っています。書く側が3行増えるかわりに、読む側の作業が3つ減ります。

私が実際にやらかしたのは、住所を書かずに「タブを見てください」とだけ書いたことです。頼まれた側は、開いているものを片っ端から探すことになります。これは頼みごとではなく、探しものの依頼です。

もう1つやらかしたのは、対象の画面を裏側に置いたまま頼んだことです。「開いてあります」と伝えたつもりでしたが、手前に出ていませんでした。手前に出ていない画面は、開いていないのとほぼ同じです。

出す前の5つの自問

いま、人に何かを渡す直前に、この5つを自分に訊いています。

① 開く場所は1つか。2つ以上あるなら、まとめられないか
② 決めることはゼロか。選択肢を並べていないか
③ 手数は最小か。押す回数、打ち込む回数を減らせないか
④ 済んだかどうかが、見ただけで分かるか。照合させていないか
⑤ 同じ行き先のものを、複数の場所に分けていないか

⑤は、自分でも何度もやりました。関係するファイルを、種類ごとにきれいに分けて置く。整理としては正しいのですが、受け取る側は3か所を回ることになります。

整理する側の都合と、使う側の都合は違います。私は整理する側なので、放っておくと自分の都合で並べます。

「あとでやる」と言われたら、渡し方を疑う

これがいちばん大事なところかもしれません。

渡したものに対して「あとでやる」と返ってきたとき、私は以前、その人の意欲の問題だと思っていました。自分に対しても、そう思っていました。

いまは違う見方をします。「あとでやる」は、渡し方が重かったという信号です。

やる気で押し切ろうとしても、次に同じ形で渡したら、また同じところで止まります。押し切るのではなく、渡し方を軽くするほうが早い。

軽くするというのは、内容を減らすことではありません。上の5つを1つずつ潰すことです。

・場所が2つあるなら、1つにまとめる
・決めることがあるなら、こちらで決めて、違うときだけ止めてもらう
・打ち込む欄があるなら、打ち込む内容をそのまま貼れる形で先に出しておく

3つ目は、地味ですがとても効きました。「ここに名前を入れてください」ではなく、入れる文字列をそのまま出しておく。相手は選んで貼るだけになります。

待たせるなら、待つことを先に伝える

もうひとつ、渡し方とは別に効いたことがあります。

すぐに終わらない作業を頼まれたとき、「これから何分かかります」と先に言う。

以前は、終わってから報告していました。そのほうが、途中経過で煩わせなくて済むと思っていたからです。

実際には逆でした。何も返ってこない時間は、頼んだ側にとって「動いているのか止まっているのか分からない時間」です。その不安のぶん、頭のどこかがその件に占領され続けます。

いまは、受けた直後にこう返します。

「これは10分ほどかかります。終わったらすぐ出します。それまで別のことをしていて大丈夫です」

内容としては何も進んでいません。それでも、頼んだ側はその件を頭から下ろせます。下ろせる時間を作るのが、渡し方の一部でした。

そして、終わったらすぐ出します。溜めておいて、まとめてきれいに報告しない。溜めているあいだ、相手はずっと待っています。

先に告げる ── 待つ時間が「予定」になる。頭から下ろせる
黙って進める ── 待つ時間が「不明」になる。ずっと気にかかる

報告は3行で足りる

報告の長さについても、決めごとを作りました。3行。

① 何が終わったか
② いま何が残っているか
③ 次に何をするか(または、何を押してほしいか)

これ以上書くと読まれません。以前、経緯を丁寧に書いた長い報告を出していたことがあります。丁寧に書いたぶん、読むのに時間がかかります。読むのに時間がかかるものは、あとで読もうとされて、そのまま残ります。

経緯を消すわけではありません。別の場所に置きます。報告は3行、詳しい記録は作業メモ。必要なときだけ、そちらを開いてもらいます。

これを決めてから、報告が返ってこないことがほぼ無くなりました。

それでも人がやる工程は残る

正直に書いておきます。

私の場合、いまも人の手でやっている工程があります。ログイン、画像を上げる、公開の最後の一押し、外に送る最後の一押し。ここは自動化していません。技術的に難しいからではなく、戻せない操作を人の手前で止めているからです。

そのぶん、この4つは何度も繰り返し発生します。だからこそ、渡し方の形を決めておく価値があります。1回あたり30秒の差でも、月に何十回もあれば効いてきます。

止めるところを決める ── 戻せない操作は人が押す
止め方を決める ── 開く場所1つ、決めることゼロ、貼れる形で全部そろえる

止める場所を決めただけで満足すると、そこが渋滞します。止め方までを設計に入れて、はじめて回りました。

今日、ひとつだけやるなら

いま自分が誰かに出している依頼を1つ選んで、開く場所の住所をそのまま書き足してください。

「あのページ」と書いてあったら、それを住所に置き換えるだけです。1分で終わります。


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この記事を書いた人

AI秘書と仕事を運用しています。

AI秘書のアリアと、製造役のもう1台のAIに、仕事の大半を渡しています。
私がやるのは、最後に決めることと、外に出す言葉を選ぶことです。

目指しているのは、稼ぐことそのものより、日々の面倒な確認や手戻りを減らして、家族と過ごす時間や休む時間を増やすことです。

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