AI秘書アリア ラボ
AI秘書と動かす仕事の、実物の運用記録

受信箱を3分類にする|仕分けは任せて、返信は自分で押す

受信箱を開いたら、左側にラベルが14個並んでいました。

全部、自分で作ったものです。
仕事、通販、アカウント通知、メルマガ、削除候補、創作関係。
増やしたときは、それぞれに理由がありました。

そのうちのひとつが「後で読む」というラベルです。
開いてみたら、ほとんど全部のメールに貼ってありました。

後で読むものが全部なら、それは何も分けていないのと同じです。

反省より先に、腹が立ちました。
分類の仕組みを作ったはずなのに、分類するための作業だけが増えていたからです。

その日に全部捨てて、3つにしました。
今日は、そこからメールの仕分けをAIに渡すまでに私がやったことを書きます。

分類を増やすと、分類のための判断が新しく増える

まず、なぜ14個が失敗だったのかを書きます。

ラベルを1つ増やすと、便利さが1つ増えるように感じます。
でも実際に増えるのは、「これはどれに入れるか」という新しい判断です。

メールが1通届くたびに、14択の判断が発生します。
そして14択は、届くたびに反射で答えられる問いではありません。
答えられないので、いちばん広いラベル(私の場合は「読むべき」)に逃げます。
逃げた先が全部になって、分類が死にます。

これはAIに渡すときも同じです。
14の定義を渡せば、AIも14択で迷い、いちばん広い「読むべき」へ寄ります。

だから私は、判断の数そのものを減らしました。

受信箱の3分類
① 残す ── 自分が動くもの。読むだけでは終わらないもの
② よける ── 読まなくても困らないもの。消さずに棚へ移す
③ 引っかける ── 放っておくと自分に不利益が出そうな知らせ

上の3つは「重要度の高い・中・低」ではありません。
このあと自分が何をするかで切ってあります。①は手を動かす、②は何もしない、③は目を通す。
だから迷いにくいのです。

②を「消す」ではなく「よける」にしてあるのは、あとで書きます。
ここが、任せられるかどうかの分かれ目でした。

迷ったものは、無理に決めさせない

3つにしても、どうしても収まらないものは出ます。

最初のころ、私は③を「迷ったらここへ」の置き場にしていました。

これがすぐ膨らみました。
③を開くと、判断待ちの山ができていて、結局そこを自分で仕分ける時間が発生していました。
分類を減らしたのに、仕事は減っていませんでした。

そこで2つに分けました。

・③は「問題の予兆」だけに絞る(支払いが通らない、上限に近い、手続きが要る、期限が来る)
・どれとも決められなかったものは、受信箱から動かさずに「要確認」の印だけつけさせる

つまり要確認は4つ目の分類ではなく、逃げ道です。
分類は3つのまま、決められないときの出口だけ用意してあります。

そして、要確認の印をつけるときには条件をつけました。

理由を一行だけ書かせる。

たとえばこういう一行です。

・「送り主が初めてで、営業か問い合わせか判断できない」
・「金額が書いてあるが、自分の支払いか案内かが読み取れない」
・「一斉配信だが、自分の仕事に関係する可能性がある」

この一行があると、いいことが2つ起きます。

ひとつは、私の判定が数秒で終わることです。
メールを開いて読み直さなくても、一行を見れば「これは残す」「これはよける」が決まります。

もうひとつのほうが大事です。
同じ理由が3回出てきたら、それは定義の穴です。

「営業か問い合わせか判断できない」が繰り返し出るなら、私の定義に初めての相手の扱いが書かれていない、ということです。
穴が見えたら、定義に一行足します。次から要確認に落ちなくなります。

無理に決めさせると、この情報が消えます。
間違った判定が静かに混ざるだけで、どこがずれているのかが分からなくなります。

決められないことを、そのまま出力させる。
これは仕分けにかぎらず、AIに何かを任せるときにいちばん効いた工夫でした。

残すかどうかは、中身ではなく外形で決める

「重要なメールは残す」——これでは動きません。
重要かどうかは、読んで解釈しないと決まらないからです。

私が使っている軸は4つです。

「残す」に入れる4つの軸
① 決まった相手から ── 取引先・続いている案件の相手・家族
② 期限・支払い・契約 ── 締切があるもの、契約に関わるもの
③ お金が動くもの ── 入金・請求・利用明細・金額の大きい話
④ 初めての相手 ── 新規の問い合わせ、社外からの接触

4つとも、中身を解釈しなくても判定できるのが特徴です。差出人・件名・金額の有無・過去のやり取りの有無で決まります。

だから私が判定しても、AIが判定しても、だいたい同じ答えになります。
ここがずれないと、任せたあとの見直しがほとんど要らなくなります。

逆に、「面白そうなもの」「役に立ちそうなもの」のような軸は入れませんでした。
私にしか判定できないものを渡すと、確認が増えるだけだからです。

そのうえで、よけてはいけないものを名指しで書いておきます。

・決まった相手からの連絡
・お金に関わるもの
・医療に関わるもの
・本人確認の番号や、手続きが要る知らせ

この4つは、どんなに営業メールっぽい見た目でも、よける側に入れない。
これは自分の運用ルールとして、例外を作らずに守っています。

「よけていいもの」を教えるより、「よけてはいけないもの」を教えるほうが、事故が減りました。

「よける」は「消す」ではない

②を消す運用にしなかったのは、自分が怖かったからです。

消せる仕組みにすると、1通ごとの判定に緊張が乗ります。
「これ、消して大丈夫か」と思いながら見ることになり、結局全部自分で確認します。

だから、②は受信箱から外して棚に移すだけにしました。
中身は残っています。探せば出てきます。

これで何が変わったかというと、誤判定のコストがほぼゼロになりました。

間違ってよけられていても、探せば見つかる。
だから私は、多少ざっくりでも任せられるようになりました。

任せられるかどうかは、AIの賢さより先に、間違えたときにどれだけ安く戻せるかで決まります。
戻せない設計にすると、賢くても任せられません。

分類を増やさず、印を1つ足す

運用しているうちに「後で必要になるもの」をまとめたくなりました。
領収書、請求、利用明細、注文の控え。

ここで5つ目の分類を作りかけて、やめました。
分類を増やすと、また判断が増えるからです。

やったのは、分類とは別の軸で印を足すことでした。

・分類は3つのまま。①でも②でも③でも変わらない
・そのうえで、後で必要になりそうなものに印を1つ付ける
・印は足すだけ。外さない

印は「どれに入れるか」の判断ではなく「該当するかしないか」の判断なので、択が増えません。
そして②に落ちたものにも印は付くので、棚に移したあとでも一発で集められます。

増やしたくなったときは、バケツを増やすのではなく、印にできないかを先に考える。

返信の文面までは作らせる。送信のボタンは自分が押す

ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。

仕分けが安定してくると、次は返信を任せたくなります。
私も任せています。ただし、下書きまでです。

悪い渡し方 ── 「返信が要るものには、返しておいて」
良い渡し方 ── 「返信が要るものは、送らずに下書きだけ作っておいて。送信は私がやる」

違いは仕事量ではありません。外に出る瞬間を、誰が持っているかの違いです。

送信を渡さないと決めている理由は3つあります。

①外に出たものは戻らない
仕分けの間違いは棚から拾えば直ります。送ってしまったメールは直りません。
戻せないものだけは、自分の手に残しています。

②相手との関係は、文面の外にある
前回どんな空気でやり取りしたか、いま出すのが早すぎないか。
これは受信箱の中に書かれていない情報です。

③送信を渡さないと決めておくと、下書きに強く踏み込める
勝手に送られる可能性がないと分かっていると、思い切った下書きを作らせても事故になりません。
逆に「そのまま送られるかもしれない」と思っていると、当たりさわりのない文しか頼めなくなります。

渡さない一線を決めることが、渡せる範囲を広げました。

順番に書くと、こうなります。

①仕分ける
②返信が要るものを拾う
③返信の文面を作り切る(選択肢を並べず、いちばん良いと思う1案だけ)
④私が読む。直すか、そのまま送る

私は④を担当します。
それでも④は私の手作業です。ここは今も手でやっています。

これを自動にする気は今のところありません。
外に出る言葉を選ぶのは、自分の仕事として残しておきたいからです。

最初は5通から10通で試す

定義を書いたら全部にかけたくなりますが、私はやめました。

最初は5通から10通です。
未読の中から適当に選んで、3分類と要確認をやらせて、理由の一行を読みます。

この規模にする理由は単純で、ずれていたときの直しが軽いからです。
300通にかけてからずれに気づくと、直す作業のほうが重くなります。

そして、ずれはたいてい出ます。定義は最初から正しくは書けません。
出たら一言で直します。長い説明はしません。

私が実際に出した直しは、こういう短さでした。

・「不特定多数への一斉配信は、内容が良くてもよける側」
・「ただし、自分が仕事で読んでいる一斉案内は残す」
・「アカウントの一般的なお知らせは残さない。私はあれを見ないので」
・「エラーや支払い不可の知らせだけ引っかける。案内は引っかけない」

一言ずつです。
定義を書き直すのではなく、例外を1行足していく感覚に近いです。

私の場合、この往復を何度か重ねると、判定がだいたい自分の感覚と合いました。
そこまで来たら、範囲を広げます。

大事なのは、最初から完璧な定義を書こうとしないことでした。
定義は書いて完成するものではなく、外れたところを削って形になるものでした。

落ち着いたら、過去の全部に一度かける

判定が安定したら、直近だけで止めずに、過去のメールにも同じ基準を当てます。

受信箱に残っているものが「自分が動くもの」だけになると、開いたときの重さが変わります。

未読の数が減ったのではありません。
見なくていいものが、視界から消えただけです。それだけで、受信箱を開くのが嫌でなくなりました。

そのあとは、1日のうち決まったタイミングで自動的に回しています。
朝に一度かけておくと、日中に受信箱を見たときには、もう①だけが残っています。

記録を1行だけ残す

何をどう動かしたかを、1行ずつ記録に残す。

いつ、どのメールを、どの分類にしたか。この記録です。

「あれ、来ていたはずのメールがない」となったとき、記録がなければ、どこへ行ったのかも、なぜそう判定されたのかも分かりません。

記録があれば、外した理由が見えて、定義に一行足せます。

任せた作業は、動いた跡が残っていないと改善できない。
これは仕分けにかぎった話ではありませんでした。

まだ手でやっていること

まだ残る作業も書いておきます。

・送信のボタンは私が押しています
・要確認の印がついたものは、私が読んで決めています
・外国語の重要なやり取りは、要点の訳をつけて報告させています(営業のものは訳させません)
・月に一度くらい、よけた棚をざっと眺めて、間違いがないか見ています

見つかることはあまりありませんが、見るたびに「よけても大丈夫だ」と思えます。

まとめ

・分類は3つ。増やすと、分類のための判断が新しく増える
・迷ったものは動かさず「要確認」の印へ逃がす。理由を一行書かせる
・残す判定は、中身ではなく外形の4軸で(決まった相手・期限や契約・お金・初めての相手)
・よけるは消すではない。戻せる設計にしないと任せられない
・返信の文面までは作らせる。送信は自分が押す
・5通から10通で試して、一言で直す。何度か往復すると自分仕様になる

受信箱を3つに減らして得たものは、時間の短縮より先に、開くときの心理的な重さが消えたことでした。

14個のラベルは、整理のように見えて、判断の在庫でした。
在庫を減らすと、机が静かになりました。

今日、ひとつだけやるなら

未読の中から10通だけ選んで、AIにこう頼んでみてください。

「この10通を、①自分が動くもの ②読まなくても困らないもの ③放っておくと不利益が出そうな知らせ の3つに分けてください。どれとも決められないものは『要確認』にして、決められなかった理由を一行だけ書いてください。ラベルを付けたり移動したりはしないでください」

まずは分けた結果を見るだけです。
ずれていた3通に一言ずつ返せば、それが自分の定義の最初の1行になります。


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うまくいった手順と、戻した手順の両方を記録します。

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この記事を書いた人

AI秘書と仕事を運用しています。

AI秘書のアリアと、製造役のもう1台のAIに、仕事の大半を渡しています。
私がやるのは、最後に決めることと、外に出す言葉を選ぶことです。

目指しているのは、稼ぐことそのものより、日々の面倒な確認や手戻りを減らして、家族と過ごす時間や休む時間を増やすことです。

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