AI秘書アリア ラボ
AI秘書と動かす仕事の、実物の運用記録

通知に固有名詞を載せない|件数と種類だけで運用する

机に置いたスマホが、短く光ります。

私はAI秘書から、一日に何度か通知を受け取っています。
今日の要対応が何件あるか。期限が近いものが残っていないか。頼んだ作業が終わったか。
単発の連絡だと私は取りこぼすので、期限や支払いが絡むものは、チャットと自分宛のメールと通知の三つで重ねて届くようにしてあります。

その通知から、人の名前と、会社名と、案件名と、金額を消しました。
今は件数と種類しか出していません。

理由は単純です。ロック画面は、私だけの画面ではないからです。

通知は、公開物として設計する

スマホは机の上に置きます。打ち合わせのあいだも、カフェで作業しているあいだも、電車で立っているあいだも、画面は上を向いています。
そこが光ったとき、その文字を読めるのは私だけではありません。隣の席の人からも見えます。後ろの席からも、斜め後ろからも見えます。

通知の価値は、ロックを解除しなくても読めることです。手数ゼロで私に届く。
その裏返しとして、手数ゼロで他人にも届きます。これは通知の欠陥ではなく、通知そのものの性質です。

出る場所も一つではありません。ロック画面に出て、通知の一覧に残って、メールの件名としても出て、腕につけている端末があればそこにも出ます。
どれか一か所を隠しても、別の場所から同じ文字が出てきます。表示先を一つずつ塞ぐやり方は、私には管理しきれませんでした。

だから私は、通知を「私宛のメッセージ」ではなく「外に貼り出す掲示物」として扱うことにしました。
見られる確率が低いかどうかで設計していません。見られた瞬間に取り返しがつかない種類のものだから、先に決めておく。
事故が起きてから直す性質のものではない、という判断です。

載せないものを、先に固定する

そのつど考えると漏れます。判断が要る仕組みは、疲れている日に崩れます。
だから、載せないものを四つに固定しました。

・人の名前
・会社名や屋号
・案件やプロジェクトの名前
・金額

この四つが出てこない文にできれば、あとは何を書いてもかまわない。そういう線の引き方にしています。

四つに絞ったのは、覚えられる数だからです。
「機密に当たるものは載せない」という決め方も考えましたが、それだと、載せるたびに機密かどうかを判定することになります。
判定が要る規則は、忙しい日に飛びます。名前・社名・案件名・金額、と具体語で持っておくと、書いている途中で目に入って作業が止まります。

載せない通知 ── 「◯◯社の△△さんから、支払いの件で返信あり」
載せる通知 ── 「要対応2件(うち期限つき1件)」

下の一文は、私を動かすには十分で、他人には何も伝えません。
通知に必要なのは「開く理由」です。中身は要りません。ここを分けたのが、この運用のほぼ全部です。

中身は、開けば分かる場所に置く

件数だけでは動けないのでは、と思われるかもしれません。私も最初はそう思いました。

実際にやってみると、逆でした。
通知を見た瞬間に、私は「今すぐ開くか、後で開くか」を決めます。
その判断に必要なのは、件数と種類です。誰からの何の件か、は開いてから分かればいい。

そこで、中身は非公開の場所に一本化しました。私の場合は、自分宛のメールの本文と、手元にある未完のタスク記録です。
ロックを解除して、自分しか開けない場所を開けば、そこに全部書いてあります。
自分宛メールも、件名には固有名詞を入れません。件名は通知に出てしまうからです。本文にだけ書きます。

この形にしてから、通知を増やしやすくなりました。
以前は「大事なことは何度でも知らせてほしい」と「通知に中身を書きたい」が正面からぶつかっていました。
中身を捨てたら、頻度を上げても外に出る情報は増えません。薄い通知は、何度出しても薄いままです。

重ねて届ける。一通ずつは薄くする

私は一つのチャネルだけの連絡をよく落とします。一本だと、見た記憶ごと消えます。だから重ねます。
ただし、全部を重ねるわけではありません。段を三つに分けています。

① ふだんの作業の進み具合は、通知だけにしています。一本で終わりです。
② 期限・支払い・契約が動くものだけ、チャットと自分宛メールと通知の三本で出します。
③ 二日続けて動いていないものは催促せず、すぐできる作業に分け直してから出します。

三段に分けているのは、全部を三本で流すと、三本とも読まれなくなるからです。重ねる相手を選ぶから、重ねる意味が出ます。

同じ文面を繰り返さないことも決めています。朝はまずやること、昼は進み具合、夜は今日は手放す、と切り口を変える。
同じ文字が三回来ると、二回目からは中を読まずに閉じます。三回出したのに一度も読んでいない、という状態が起きます。

そして、この三本のどれにも固有名詞は載せません。自分宛メールの本文だけが例外です。

種類の名前も、増やしすぎないようにしています。私が使っているのは、要対応、期限つき、完了報告、この程度です。
種類が十個あると、通知を見たときに「これはどの種類だったか」を思い出す時間が発生します。
薄くする目的は、隠すことだけではなく、見た瞬間に動けることでもあります。

見に行く係は、一つに決める

もう一つ、通知の設計で効いたことがあります。自分で通知を見に回らないことです。

以前は、あちこちのサービスの通知欄を自分で見に回っていました。
ログインして、画面を開いて、何もなければ閉じる。何もない日のほうが多い。
それでも「見ていない」が不安なので見に行く。この往復で、一日のうちのそれなりの時間が溶けていました。

今は、巡回して確かめる作業は担当を一つに決めて、私は見に行きません。
報告が来ないなら正常、と決めました。生きているかの確認もしません。確認そのものが時間を食うからです。
私は、判断が要るものを受け取ります。

これも情報を守る側面があります。見に行かない画面は、開いていない画面です。開いていない画面は、後ろから読まれません。

外に渡す前に、固有名詞を外す

長いやりとりを要約させたい。資料を読ませて要点を出させたい。これは日常的にやります。

渡す前に、私は固有名詞を外します。
人の名前は役割に置き換える。会社名は「A社」にする。案件名は「本件」にする。金額は、判断に要らなければ消す。
置き換えたあとに、もう一度だけ通しで読み返します。

この置き換えは、今も手でやっています。自動で伏せる仕組みは作っていません。
理由は、自動化すると確認しなくなるからです。
「仕組みが消してくれたはず」で通した日に、一つだけ残っていたら、それで終わりです。
外すこと自体は短時間で終わります。その手間を惜しんで確認を省くほうが高くつく、という判断です。

名前を消すと答えが雑になるのでは、と心配になる場面はあります。
そのときは、名前ではなく関係を書きます。「◯◯さん」ではなく「発注側の担当者」、「△△社」ではなく「取引が続いている相手」。
判断に効いているのは名前そのものではなく、立場と時系列であることが多いので、そこだけ残します。

外に渡す前の3つ
① 名前を外す ── 人名・社名・案件名を、役割か記号に置き換える
② 数字を外す ── 金額・件数・日付は、判断に要らなければ消す
③ 通しで読み返す ── 置き換えたつもりの1か所が、そのまま残っていることがある

この三つは、渡したあとにはできません。できるのは渡す前の一回だけです。

渡した情報は、戻せません。
消してくださいと言っても、渡したという事実のほうは消えない。
だから、外に出す手前に一か所だけ関所を置いて、そこで止める。私の運用で、止まる場所はここです。

預かったものは、長く持たない

もっと手前の話をします。そもそも手元に置かない、という設計です。

相手から預かった資料やデータは、仕事が終わったら消す前提で受け取ります。
受け取るときに「これはいつ消すか」を決めてから受け取る。決めずに受け取ったものは、たいてい一年後もそこにあります。

具体的には、預かったものは仕事ごとの一つの場所にまとめて置いて、他の場所に写しを作りません。
写しが二つあると、片方を消したときに、もう片方が残っていることに気づけません。置き場所を一つにするのは、消すためです。

自分の商品でも、お客さんのデータを自分の側に保管しない形にしています。
決済まわりは外の仕組みに任せて、名簿を自分で持たない。うまくいかなければ、たたむだけで済むようにしておく。

守りを固めるためではありません。守らなくていい状態を作るためです。
持っていないものは漏れません。
そして、持っているものが増えるほど、確認する手順と、思い出す不安と、たたむときの手間が増えます。
情報を持つことのいちばんのコストは、漏れることではなく、日々の摩擦のほうだと思っています。

だから「変な守り」も増やさないようにしています。規則を十個作ると、疲れた日に十個とも守られません。
私が持っている規則は三つだけです。通知に四つを載せない。外に渡す前に外す。終わったら消す。

私がまだ手でやっていること

正直に書いておきます。

・固有名詞の置き換えは手作業です。仕組みにしていません
・ロック画面のプレビューを切ってしまう手もありますが、それをやると私は通知そのものを開かなくなりそうなので、中身を薄くするほうを選びました
・通知の「種類」は増やしすぎないほうが動きやすいと感じています。種類が十個あると、種類名を読む時間が発生します

ここは環境によって答えが変わるところなので、私の場合として書いています。

今日、ひとつだけやるなら

今日いちばん最近に届いた通知を、ロック画面のまま一度だけ読み返してください。
他人が読んだつもりで読んで、人名・社名・案件名・金額のどれかが読み取れたら、その通知を出しているところの設定を一か所だけ変えます。


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この記事を書いた人

AI秘書と仕事を運用しています。

AI秘書のアリアと、製造役のもう1台のAIに、仕事の大半を渡しています。
私がやるのは、最後に決めることと、外に出す言葉を選ぶことです。

目指しているのは、稼ぐことそのものより、日々の面倒な確認や手戻りを減らして、家族と過ごす時間や休む時間を増やすことです。

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